第3050回 例会 「歴史をつくるカウントダウン
ポリオは根絶できる みんなの力があれば」

担当:鈴木茂男君
講師:関口直美様(平塚湘南RC)

 先ずポリオという病気について説明いたします。ポリオはウィルスによる感染症です。日本ではポリオが流行した時に小さい子供の麻痺がよくみられた為、「小児まひ」と呼ばれていますが、大人にも感染します。

 ウィルスは主に人の排泄物を介して口から入ります。不衛生な水などにより、飲食物や手などに付着して口から入ることが考えられ、口の中に入ったウィルスは喉に定着したり、あるいは飲み込まれて腸に定着し、増殖します。ウィルスはさらに付近のリンパへと侵入し、血液の流れに乗って中枢神経にたどり着き、麻痺を引き起こすことがあります。ポリオは根絶可能な疾病です。なぜそう言い切れるのか5つの理由を述べます。

1.ポリオウィルスの感染期間は非持続的です。ポリオに感染しても、感染力のある期間は限られています。通常1~2週間程度です。

2.感染経路は感染者とその排泄物のみです。通常、ひとの排泄物だけが感染源となります。このように感染経路の特性を知る事でポリオ克服に近づけます。

3.ポリオウィルスが自然界で生存し続けるには限界があります。野生型のポリオウィルスはヒトの体内以外では長く生存できません。

4.ひとが唯一の宿主であること。これは何度も立証されましたが動物を介して生存・感染するウィルスは確認されていません。

5.そして最後にワクチンの予防接種によって感染を防ぐことができます。

 1988年に比べて、発症数は99.9%減少しました。
残りは0.1%いや0.01%にも満たないのですが、このほんの少しの戦いが最も困難だと言われています。その理由としては遠隔地や不十分なインフラ、戦争やテロ地域である事や文化的な障害が挙げられますが、根絶をしない限り、世界中の国々がポリオの再発生のリスクにさらされていることになるわけです。私たちはこの困難な残り0.1%の戦いをここでやめるわけにはいきません。

 まず、野生株ポリオウィルスの発症が起きている3カ国で感染を断ち切り、既にポリオフリーとなった国にウィルスが流入しないようにしなくてはなりません。流入リスクの高い国は最大60カ国と言われ、現在も続けて全国一斉予防接種などのキャンペーンを続けています。このポリオウィルスを完全に根絶しない限り、今後10年間で新たな発症は世界で20万件に上がると推定されています。ここでポリオプラスの、そのプラスが何を意味するかを説明いたします。当初のプラスの意味は、ポリオと共に子供のかかりやすい伝染病(はしか、結核、ジフテリア、百日咳、破傷風)の5つをプラスして同時追放を目指していました。しかしポリオ根絶運動の取り組みとともに 新たな恩恵(プラス)が増えてきました。ワクチンの運搬、保存をするための物流方式が発展途上地域で確立され、これはまさにコロナウィルスのワクチン運搬や保存にも生かされました。この新しい物流方式はコールドチェーンも呼ばれていまここで寄付の話になりますが、国際ロータリーではポリオ根絶の為に毎年5000万ドルの拠出を目標としています。ビル&メリンダ・ゲイツ財団はロータリーの寄付に対して2倍額を上乗せすることを約束しています。資金は「根絶活動の運営」「医療従事者の支援、確保」「研究所の設備」「啓発資料」などに使われています。2780地区ではポリオプラス基金として一人40ドルの寄付を目標としております。

 ビル・ゲイツはこのように言っております。「ロータリーから刺激を受け、私もポリオ撲滅に深く関わろうと決意しました。ロータリーがなければ、今日の世界はなかったでしょうし、今後世界が向かうべき方向も失われていたでしょう」ポリオのない世界の実現へ向けて 根絶に賭ける5つの理由の述べます。

 根絶を諦めれば今後数千万人の子供がポリオで身体麻痺になる。根絶達成は目前に迫ってます。根絶を達成すれば、今後20年間で500億ドルの経済効果 7兆5千億円日本だけでもポリオワクチンが入った4種混合から3種混合に変わるだけでも1年間で150億円相当の費用が節減されます。そしてこの疾病監視のネットワークは他の感染症対策にとって世紀的な贈り物になります。またポリオ根絶は公共保健の歴史的快挙となります。これは天然痘に続いて2例目です。

 ゴードン・マッキナリーRI会長は「ロータリーが、ポリオのない世界という夢(ビジョン)を追い続け、最優先事項として位置づけて 継続して大きなことを成し遂げてきた この35年間は、私たちの誇りであること 最近再びポリオが発生したことで 世界の子供たちを脅かすポリオという恐ろしい病の根絶に 再び注目が集まっていること ポリオ根絶というロータリーの夢(ビジョン)を実現するために ロータリーは新たな緊張感をもって 必要なあらゆるリソースを 提供すべき時が来ているのであり 根絶が実現した暁には ロータリーは大きな歴史的称賛を受けるに値する」と述べています。

 

クラブ会報・IT委員会 2023年 12月 12日 火曜日 | | 例会